株式会社本間組の脱炭素の取組をご紹介します


【ヒアリング担当者】管理本部 経営企画部長 中川 和俊 さま

【訪問日】令和8年1月中旬



建築や土木工事を中心に、道路や橋りょう、港湾など地域のインフラ整備を幅広く手がける株式会社本間組にお邪魔して、脱炭素の取組について話を伺いました。

当社はこれまでも、ISO14001の取得や地元新潟をはじめとする地域の環境保全活動など、環境に関する取組を継続して進めてきました。そうした積み重ねの中で、「今後はSBT認定がISOと同じように『取得していて当たり前』になる」という社長の判断が大きなきっかけになりました。
また、公共工事の総合評価落札方式にかかる評価項目としてSBT認定が扱われ始めるなど、業界全体で脱炭素への取組が求められるようになってきたことも背景にあります。こうした流れを踏まえ、準備を進めることにしました。

一番大きいのは、温室効果ガス排出量を国際基準で算定・管理できる体制が整ったことです。最近は大手のお取引先から排出量や脱炭素の取組の開示を求められるケースも出始めており、SBT認定を取得していることで、信頼性のあるデータを提示できるようになりました。

昼夜を問わず行われる港湾工事では、作業船が欠かせない存在です。その中で、環境負荷の少ない作業船を実現できないかと検討を進め、化石燃料の代わりに水素燃料を用いた発電や運転中の余剰電力活用のためリチウムイオン蓄電池を導入するなど、環境配慮型作業船「越後9000」を新造しました。
作業船に水素発電機を搭載する取組は国内でもほとんど例がなかったため、許認可の手続きも含めて課題も多く、社内の関係部署で議論し、行政・関係機関などとの協議・調整にかなり時間を要しました。そんな中で、「環境への挑戦には困難があっても取り組むべきだ」という経営判断が後押しになりました。
リチウムイオン蓄電池や水素発電機は高額な設備投資となりましたが、コスト回収だけでなく環境負荷の低減が見込める方法に注力することは、企業として未来に向けたメッセージを示すための投資と捉えています。

正直なところ、これまで環境配慮の取組を地道に進めてきた分、SBTの目標達成に向けて、温室効果ガス排出量をさらに削減していくのは『しぼった雑巾をさらにしぼる』ような感覚です。
そんな状況でも、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量の削減と新技術への備えについては力を入れていきたいと考えています。

建設工事は、発注者・元請・協力会社など多くの関係者が段階的に関わって進むため、スコープ3(サプライチェーン由来の排出)は関係先が多くなります。そのため、すべての協力会社から詳細なデータを集めるのは現実的に難しい部分もあります。現状の算定は、代表的な協力会社や工事のデータをもとにした推計で対応しています。
一方で、脱炭素に資する材料や工法はコストが上がりやすく、発注の仕組み上、価格を重視した従来工法が選ばれやすいのが現状です。そのため、お客様にこうした環境に配慮したご提案をしても、必ずしも採用に至るわけではありません。

そうですね。だからこそ、できる範囲から協力会社の皆さまと情報を揃えていき、必要に応じて算定の精度を上げていくことが重要だと考えています。

今の時代、技術の進歩が早いので、検討に時間をかけている間にその技術自体が陳腐化してしまうこともあります。だからこそ、必要なときにすぐ動けるように、日頃から情報収集を続けておくことが大事だと考えています。

例えば、ある日、会社の方針で「ペロブスカイト太陽電池を導入してみよう」となったときに、「ペロブスカイトって何ですか?」から始めるのではなく、担当者がある程度の情報を把握していて、「それなら、この人に話を聞こう」「こういう形で検討しよう」と次の一手がすぐ出せる状態です

はい。トップダウンでスピード感を持って動ける強みがある一方で、その判断を支えるためには、現場や担当部署での準備が欠かせません。ですので、将来を見据えた情報収集や、社内での知識の蓄積は続けていきたいと思っています。

当社としては、これまで積み上げてきた取組の延長線上で、「当社らしく地道に」進めていくことが基本です。
同時に、一つの企業だけでムーブメントを起こすのは難しいと感じています。だからこそ、複数の企業が技術や知見を持ち寄って、連携して取り組むことが大切だと思います。機会があればぜひ一緒に取り組みたいですね。

越後9000
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